韓国の代表監督にとって日韓戦は、自らの墓場になる危険性を常に持っていた。 実はこの時は日本も同じだった。あちこちからトルシエ更迭論が出ていた。
「新代表監督はレイソルの西野朗監督」との見出しが有力紙を飾っていた。
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この試合に臨むに当たって、韓国チームの課題は「日本の中盤をどう崩すか、そして日本の中盤の攻撃をどう防ぐか」という点だった。
日本の短所も長所も知り尽くしている、Jリーグでプレーしている選手たちがはじき出した結論は、中盤を省略、ロングボールを多用する戦術だった。
まともに日本チームの中盤と、パス回をしては勝てない。
一昔前の戦術かも知れないが、この作戦は日本の中盤に対しては大きな効果があった。
戦術が進歩しない、むしろ退歩ではないか、という批判もあったが、この試合で韓国チームに最も求められていたのは「勝つこと」だけだった。
試合はこの作戦が当たった。この戦術が日本の中盤に対抗するには最も効果的だった。そして日本のDFラインを崩すのにも効果的だった。
そして後半39分、河錫舟(ハ・ソッチュ=ヴィッセル神戸・当時)のミドルシュートが楢崎正剛の守るゴールを割った。シュートは左ポストにあたり、さらに右ポストに当たり、そして、日本ゴールに飛び込んだ。
試合後、多くのインタビューを受けた。
「なぜ一昔前のサッカーだったのか」
ミョンボはあっさりと答えた。
「勝つためのサッカーをした」
許丁茂監督の進退をかけた試合。最も有効な方法で日本に勝った。
満員の蚕室スタジアムでは、終了2分前から「イギョッタ、イギョッタ」(勝った、勝った)の大声援が耳に響いた。
スタジアムにはいろいろな横断幕が張られていた。そのひとつも「洪明甫」とハングルで書かれた横段幕が、黄色と黒のレイソルカラーで書かれているのが印象的だった。
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ミョンボが韓国代表の試合に出場すると、決まって柏レイソルは苦戦した。
1999年の1stステージ。開幕戦で京都パープルサンガを1-0。第2節はアビスパ福岡を4-1、第3節は横浜Fマリノスを1-0と破り開幕3連勝を飾っていた。この時点で、首位の鹿島アントラーズ、2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点9をあげ、得失点差でわずかに下回り3位につけていた。 そして第4節では清水エスパルスと対した。
清水エスパルスも3試合を戦い3勝をあげ勝ち点9、得失点差で4。全勝同士の対戦で、序盤のヤマになる試合だった。
しかし、ミョンボはこの試合に出場することが出来なかった。
韓国代表対ブラジル代表の親善試合に召集されたのである。
【続きは明日です】
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この試合に臨むに当たって、韓国チームの課題は「日本の中盤をどう崩すか、そして日本の中盤の攻撃をどう防ぐか」という点だった。
日本の短所も長所も知り尽くしている、Jリーグでプレーしている選手たちがはじき出した結論は、中盤を省略、ロングボールを多用する戦術だった。
まともに日本チームの中盤と、パス回をしては勝てない。
一昔前の戦術かも知れないが、この作戦は日本の中盤に対しては大きな効果があった。
戦術が進歩しない、むしろ退歩ではないか、という批判もあったが、この試合で韓国チームに最も求められていたのは「勝つこと」だけだった。
試合はこの作戦が当たった。この戦術が日本の中盤に対抗するには最も効果的だった。そして日本のDFラインを崩すのにも効果的だった。
そして後半39分、河錫舟(ハ・ソッチュ=ヴィッセル神戸・当時)のミドルシュートが楢崎正剛の守るゴールを割った。シュートは左ポストにあたり、さらに右ポストに当たり、そして、日本ゴールに飛び込んだ。
試合後、多くのインタビューを受けた。
「なぜ一昔前のサッカーだったのか」
ミョンボはあっさりと答えた。
「勝つためのサッカーをした」
許丁茂監督の進退をかけた試合。最も有効な方法で日本に勝った。
満員の蚕室スタジアムでは、終了2分前から「イギョッタ、イギョッタ」(勝った、勝った)の大声援が耳に響いた。
スタジアムにはいろいろな横断幕が張られていた。そのひとつも「洪明甫」とハングルで書かれた横段幕が、黄色と黒のレイソルカラーで書かれているのが印象的だった。
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ミョンボが韓国代表の試合に出場すると、決まって柏レイソルは苦戦した。
1999年の1stステージ。開幕戦で京都パープルサンガを1-0。第2節はアビスパ福岡を4-1、第3節は横浜Fマリノスを1-0と破り開幕3連勝を飾っていた。この時点で、首位の鹿島アントラーズ、2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点9をあげ、得失点差でわずかに下回り3位につけていた。 そして第4節では清水エスパルスと対した。
清水エスパルスも3試合を戦い3勝をあげ勝ち点9、得失点差で4。全勝同士の対戦で、序盤のヤマになる試合だった。
しかし、ミョンボはこの試合に出場することが出来なかった。
韓国代表対ブラジル代表の親善試合に召集されたのである。
【続きは明日です】
text,photo by Takahashi KENT/高橋建登 無断転載を禁じます
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