2008年8月12日火曜日

2008 0812/1999の其の1の② 『みんな、自分がやらなくても、たぶん誰かがやってくれるだろうと、考えてはいないか』 続き  ミョンボ語録


 ミョンボ語録 其の1の続きです。
 どういうわけかTakahashi KENT/高橋建登が、大韓サッカー協会のホームページに紹介されてしまっています。
 大変、嬉しいことです。
 慎武宏さん、こんな私をインタビューして頂きまして、ありがとうございました。
 大韓サッカー協会ホームページ日本語版/Takahashi KENT/高橋建登インタビュー



しかし、名古屋グランパスの実力を考えると「こんなものだったのか」と何か物足りなさを感じたのは決して一人だけではなかったと思う。いつのもグランパス「どこか違う」と。このままでは終わらないのではと感じたプレーヤーも多かったはずだ。 そして、その予感は……………
 【続き】
 10月6日、日立柏サッカーで行われた第2戦で現実のものとなってしまった。
……………………………………
 準決勝第2戦は午後7時キックオフ。
 柏レイソルのメンバーはGK吉田宗弘、DFはいつもの3バック。すなわち薩川了洋、渡辺毅の2ストッパーに、リベロの位置にミョンボ。
 MFはボランチにバデアと下平隆宏。トップ下と呼ばれる攻撃型のポジションには大野敏隆。ウィングバックは右サイドに渡辺光輝、左が平山。
 FWは加藤に北嶋。

 対する名古屋グランパスだが、この試合は大黒柱のストイコビッチを警告の累積で欠いた。これが吉と出るか、凶とでるかは試合が終了しなくては誰も知る由はない。
 一般的に、ストイコビッチのような卓越したプレーヤーが欠場する場合、チーム力は落ちると思われがちだ。しかし、実際はそうでないことも多い。頼れる選手がいない分、自分達で解決しなくてはいけないことになるのだが、むしろチームが一体化して随所に良いプレーが出たりする。

 試合直前のロッカールームでは最後のミーティングが行われていた。
 「相手は2点差を挽回しようと、相当な勢いでくるだろう」と、名古屋グランパスが開始からアグレッシブな戦いで臨んでくることは全員が充分に警戒していたことだった。

 午後7時4分。岡田正義主審のホイッスルが鋭く鳴りキックオフ、長い試合が始まった。
 戦前の予想通り、前半開始から名古屋グランパスが猛攻を仕掛た。
 この日の名古屋グランパスのシステムは4-4-2。
 GK楢崎正剛。DFはブラジル出身のトーレスと古賀正紘がセンターバック。サイドバックは右に石川康、左に中谷勇介。MFはボランチに山口素弘、ウリダ。攻撃型に平野孝と岡山哲也。そしてFWは呂比須ワーグナーと望月重良の2トップだった。

 レイソルの3バックは2トップの相手に対しては無類な強さを発揮する。182センチの長身でヘディングが強く当たりに強い渡辺毅、175センチとストッパーとしては小柄ながら100㍍を11秒台で走破するスピードを持ち、1対1の状況では滅多なことでは抜かれることのない薩川。この二人が相手2トップをマンツーマンでマーク。そしてその後ろにミョンボが控えると言う図式だ。

 だが、この日の名古屋グランパスの布陣はメンバー表通りの2トップではなかった。実際には呂比須の1トップだった。スチイコピッチの欠場から偶然にそうなったのか、しかし、この1トップが柏レイソルにとっては脅威になった。
 グランパスは早めにトップのロペスにボールを預け、ロペスのキープ力を活かし、その間に望月、平野、岡山といったMF陣が猛烈なスピードで攻め上がり、自由自在に動き回った。

 柏レイソルの3バックは横1線に並ぶいわゆるフラット3ではない。2ストッパーから少し洪明甫が下がったポジションをとる。これは相手FWのポジションチェンジに応じてマークを受け渡しするゾーンディフェンスではなく、相手FWがポジションチェンジを行っても基本的にマークを受け渡しせずに同じストッパーが付いて行くマンツーマンを基本としているからである。
 呂比須がとったポジションは2ストッパーの中間、そしてリベロの洪明甫の前方と3人のDFから等距離の位置だった。誰がマークするのか非常に曖昧なポジション。相手FWに対する寄せがいつもより0コンマ何秒かタイミングが遅れていた。

 呂比須ワーグナー。洪明甫とはベルマーレ平塚でチームメイトだった。97年、フランスワールドカップのアジア最終予選のさなかに帰化が認められ、初代表が1997年の日韓戦。98年のフランスワールドカップ本大会には中山雅史の日本人史上初ゴールをアシストしている。
 正確なボールコントロールを誇るブラジル育ちのロペスにとってはこの0コンマ何秒の余裕は大きな助けになった。下がりながらロペスがボールを受け正確にコントロール。この間に名古屋グランパスの3人のMF、つまり、右の望月、中央の岡山、左の平野が猛烈なスピードで攻め上がり、この3人にロペスから正確なリターンが入るとレイソル守備陣は多くの場面で後手後手に回った。1人のFW、3人のMFを捕まえきれずに柏レイソルの守備陣は大混乱に陥った。

 前半開始わずか5分に決定的なピンチを迎えた。呂比須が落としたボールを岡山がペナルティーエリア外から強烈なミドルシュートを放った。ボールは左ポストをわずかに外れたが、このシュートが信号弾になった。柏レイソルにとっては耐えることを知らされ、名古屋グランパスにとっては自信をもって攻撃できるぞ、と。その直後にも呂比須のシュートが左ポストを叩いた。
 GK吉田を初め、守備陣は最後ところで名古屋グランパスの攻撃を防いでいたが、前半20分に、左サイドからのフリーキック。得意の左足で蹴り出された平野のボールは、ゴール前に鋭く飛び両チームの選手が殺到。しかし、ボールには誰も触れることは出来なかったが、直接、柏レイソルに飛び込んだ。GK吉田にとっては手に当てることが精一杯だった。

 2点のビハインドは1点差となった。かさにかかる名古屋グランパスの攻撃。その17分後の前半37分。柏レイソルはついに2点目を失い、第1戦の貯金を使い果たしてしまう。
 ちょうど1点目のフリーキックと同じ位置からのフリーキック。同じように平野が蹴ったボールにDFのトーレスがマークに付いた北島を突き飛ばしながらヘディングで押し込んだ。GK吉田には防ぐチャンスは無かった。
 柏レイソルは第1戦の3-1の勝利の貯金、すなわち2点のリードを、前半45分さえ守ることが出来なかった。

 ハーフタイムでロッカールームに引き上げる選手達の表情は極めて暗かった。
 「如何ともしがたい………………」ほとんどの選手にそんな表情がにじみでていた。ベンチに腰をかけても、沈黙の時間が流れた。
 自分を失ったかのような前半のプレー、このままては逆転されるかもしれない、言葉に出来ない重苦しい雰囲気が流れていた。
 その時、洪明甫が大声で怒鳴った。
【続きは明日です】

textphoto by Takahashi KENT/高橋建登 無断転載を禁じます
                                                  2008-08-12 01:07  nice!(0)  コメント(0)  

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