ミョンボが柏レイソルに移籍してきた1999シーズンは充実したシーズンだった。
1stステージ4位、ナビスコカップ優勝、2ndステージ4位。1シーズンを通じて安定した力を発揮していた。
99シーズンと言えば既に9年も前のことだ。しかし、ミョンボが冴えていた試合として、未だに、記憶から消えることがない試合がある。それは99年2ndステージ第13節、対ジュビロ磐田だ。
攻守にわたりミョンボが活躍した試合で、このゲームは5本の指に入る。
この試合はもともと11月20日に予定されていたのだが、ジュビロがアジアスーパーカップ出場のため10月27日に開催された。
午後7時のキックオフ、雨の磐田スタジアムだった。
前半22分に直接フリーキックのチャンスを得たレイソルは、ミョンボが渾身の力を込めてシュート。ボールはジュビロの壁を打ち抜いて、ゴールに突き刺さった。
後半……。 早々にDFの薩川了洋が警告2枚を受け退場。一人少なくなったレイソルに対し、ジュビロは怒濤の攻めを見せる。
ここでミョンボが立ちはだかった。最終ラインをまとめるとともに、ピンチは体を張ってジュビロの攻撃を防いでいた。と、言えば単なるスイーパーの役割だ。
しかし、ミョンボのミョンボらしいところは、守備から攻撃に転じるときのタイミングと早さが絶妙なところだ。
レイソルのペナルティーエリアを幾重にも包囲したジュビロの攻撃陣が、突破の、そしてシュートのタイミングを計りながら、得意のパス回しから徐々に危険地帯に進入する。最終ラインに位置するミョンボは、ジュビロの攻撃陣の意図を察知し、最後の、最後のタイミングでボールをインターセプト。自らドリブルで駆け上がり一転して速攻の形を作った。レイソルのペナルティーエリア周辺に集中していたジュビロMF陣は一挙に置いて行かれた。
ジュビロの猛攻を受けながらも、「守る」という任務と同時に、「攻める」ことも高いレベルで具現化していた。
後半40分、ジュビロFWが、味方MFにミドルシュート打たせようとバックパスしたが、このバックパスの意図を察知し、ジュビロMFに渡るより一歩速くインターセプト、そのまま速攻に転じたプレーがある。得点には至らなかったが極めてレベルの高いプレーだった。
この試合は1-0のまま終了。ミョンボはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
☆
4位に終わった2ndステージの後に待っていたのは天皇杯だった。
レイソルはリーグ戦と同様、高い集中力を切らすことなく臨むことに成功した。
柏レイソルはJ1シードのため3回戦から登場。12月12日、日立柏サッカー場でデンソーと対戦した。
珍しくミョンボのポジションはリベロではなくボランチだった。
ミョンボはこの試合2得点。彼の1点目はペナルティーエリア外からの完璧なミドルシュート。前半、大野が落としたボールを右足でジャストミート。ボールはゴール左隅に飛び込んだ。
2本のPKで2失点を喫したが、4-2で競り勝った。ミョンボは4点目も記録した。
続く19日の4回戦は浦和レッドダイヤモンズに2-0で完勝。
23日の準々決勝はJ2のモンテディオ山形を難なく2-0で一蹴。
そして準決勝は12月26日、国立競技場で名古屋グランパスとの対戦になった。
【続きは明日です】
text,photo by Takahashi KENT/高橋建登 無断転載を禁じます
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